「融通がきく」は効く?利く?どっち? 意味や使い方を解説

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「融通がきく」という表現についてですが、「利く」と「効く」のどちらで書くべきか解説します。

「融通がきく」は効く?利く?どっちが正しい?

「融通がきく」は「利く」が正しい表記です。

◆例文

夏目漱石 私の個人主義より
「金銭というものは至極重宝なもので、何へでも自由自在に 融通 ( ゆうずう ) が利く。」

岡本かの子 仏教人生読本より
「この自由な、融通の利く考え方をしなければ、太陽ばかり動いて地球の廻転運行なぞは思いも及ばなかったでしょう。」

「融通がきく」という表現で「利く」を使う理由は、この場合の「利く」が「都合がよい」「役に立つ」「便利である」という意味を持つからです。「利」の字には利益や便利さを示すニュアンスがあり、「融通がきく」というフレーズは柔軟性や便利さ、他人の要求に応じることができるという意味合いを持っています。したがって、この文脈には「利く」が最も適していると言えます。

利くの意味

「利く(きく)」という言葉は、主に薬や何らかの方法・手段が特定の目的に対して望ましい効果をもたらすことを意味します。

この言葉は、以下のような状況でよく使われます:

薬が効く:薬が病気や症状に対して正の効果を示すこと。例:「この風邪薬はよく効く」
方法が効く:ある方法や手段が目的を達成するのに有効であること。例:「この勉強法は試験の点数を上げるのに効く」
影響を与える:何かが人の心理や状況に強い影響を与えること。例:「彼の言葉は私に深く効いた」

これらの用例から、「効く」という言葉は、何かが具体的な結果や変化を引き起こす際に使用されることがわかります。

そもそも融通の意味は?

「融通」という言葉には、柔軟に対応する能力や、状況に合わせて物事を調整することができる性質を表す意味があります。
具体的には、次のような状況で使われます:

物事に対する柔軟な対応:固定された方法にとらわれず、状況や相手に応じて変更や調整ができること。例:「彼はどんな状況にも融通がきく」
金銭や資源の貸し借り:特に金融の分野で、資金の貸し借りがスムーズに行われること。例:「銀行からの融通を受ける」

この言葉は、柔軟性、適応性、対応力といった特質を表すのに用いられ、個人の性格や行動、さらには金銭や物資のやり取りに関する事柄にも適用されます。

融通が利くの意味

「融通が利く」という表現は、柔軟性と適応力を意味します。具体的には、以下のような状況や特性を指します:

状況や要求に応じて柔軟に対応する能力:何か新しい状況や予期せぬ要求に直面したときに、固定された考え方にとらわれず、柔軟に対処できること。
異なる意見や状況を受け入れ、調整することができる性質:他人の意見や異なる状況を理解し、それに合わせて自分の行動や考えを調整できること。

利便性や効率性:物事がスムーズに進むように、必要な変更を行う能力。特に、時間やリソースの管理において効率的な方法を見つけ出し、実行すること。
「融通が利く」は、個人の性格特性だけでなく、組織やシステムに対しても使われることがあり、変化に対して柔軟かつ効果的に対応できる能力を指します。

「融通が利く」と「融通を利かせる」の違いは?融通を利かせるは間違った表現?

「融通が利く」と「融通を利かせる」の違いについて解説します。

「融通が利く」: これは一般的に、柔軟性や適応性を持つ状態を表します。個人や組織がさまざまな状況や要求に対して柔軟に対応できる能力があることを指し、主に状況や性格の特性を表現するのに使われます。

「融通を利かせる」: これは、ある特定の状況や問題に対して意図的に柔軟な対応をする行動を指します。何かを行う際に、ルールや慣習から逸脱しても、状況に応じて柔軟に対処することを意味します。これは、能動的な行為や決断を伴う表現です。

「融通を利かせる」は間違った表現ではありません。
ただし、「融通が利く」という受動的な状態と、「融通を利かせる」という能動的な行動は、ニュアンスが異なるため、状況に応じて適切に使い分けることが大切です。
 


まとめ
この記事では、「融通がきく」という表現の正しい書き方と、それぞれの言葉の意味について解説しました。

「融通がきく」の正しい書き方: 「融通がきく」は「利く」と書きます。これは、「利く」が「都合がよい」「便利である」という意味を含むため、この表現に最も適しています。

「効く」の意味: 「効く」とは、薬や方法が特定の目的に対して望ましい効果をもたらすことを意味します。たとえば、病気への効果的な治療や、ある目的を達成するための有効な方法に使われます。

「融通」の意味: 「融通」とは、柔軟に対応する能力や、状況に応じて物事を調整できる性質を指します。これは、個人の対応力や、金銭や資源の流動性に関連する用語として使用されます。

この記事を通じて、これらの言葉の正しい使い方とその背後にある意味を理解することで、日本語の微妙なニュアンスをより深く理解することができます。

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ナルワカ

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